2014年03月26日

リビングは何するところ?

リビングは何するところ?

 教えている学生にLDKの設計をやらせるとほとんどの場合、リビングにはソファとテレビが描かれています。
「もっと他の発想はないの?」と聞くと首を傾げる学生がほとんどです。それだけリビングにはソファとテレビが当たり前のように定着していることのあかしなのですが、もしリビングからテレビとソファを取り除いてしまったらあとに何が残るのか・・・そんな切り口からリビングの設計をスタートさせるのもひとつかも知れません。

 そもそも日本人のDNAにリビングという遺伝子は組み込まれていませんでした。それが無理やり入ってきたのは戦後のアメリカ文化を取り入れた時からです。
 それまでの日本は「茶の間」という空間がありました。ちゃぶ台が部屋の真ん中に置いてあってそこで家族が食事をしながら今日一日あったこと話す・・・そんな一家団欒の風景がありました。
寝るときはちゃぶ台をたたみ、家族が川の字になって寝る。

 アメリカは個人を重んじる文化です。「個人の尊重」の対局に位置するものは「家族間のコミュニケーション」です。個人を尊重すればするほど、家族間のコミュニケーションは重要になってきます。この対立する2つの概念がアメリカではちゃんと成り立っているのです。
 ところが戦後、日本にかつてなかった西洋の文化を急いで取り入れなければ時代に遅れる・・・という危機感から「個室」とか「LDK」とかのスタイルが一気に広まりました。
しかし、個人主義とかコミュニケーションとかそういう対立概念を持たない日本人にスタイルだけを無理やり押し付けられてもすぐには体に馴染みません。戦後70年を迎えようとしていますが、おそらく「アメリカ的リビング」が我々の体に馴染むのはもっと長い年月がかかるかもしれません。
 つまるところ、日本人にとってのリビングはアメリカのような「個人あってのリビング」ということではなくて、古くから伝わっている「茶の間の延長線」と考えたほうがしっくりいくかも知れません。・・・続く


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